定期借家権Q&A 2


2 定期借家契約上の注意ポイント(契約を結ぶときの注意)
  1. 定期借家契約では、貸し主は、借り主に対して書面による説明義務があるときいています。それは本当でしょうか?手続きがわずらわしいのではないでしょうか?
    ▼回答
    従来からある借家契約と今回新しく導入された定期借家契約と2つの制度が並立することとなります。従って、借り主が十分に理解しないまま定期借家契約をして、その後トラブルになることを契約の段階で未然に防ぐことが、重要です。そこで、書面による契約に加えて、貸し主の書面による説明義務を課したものです。 次の2つの点が重要です。
    (1) 必ず、契約書を作成する必要があります。
    (2) 貸し主は、借り主に「この賃貸借は更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければなりません。
    (もし、その説明をしなければ、その契約は契約の更新がある従来からある借家契約とみなされます。)


  2. 契約の時、書面を交付して説明したのですが、あとで何かあると心配です。説明したことをどのように確かなものにしておけばよいのでしょうか?
    ▼回答
    貸し主が説明義務を果たしたかどうかが、あとで争いになった場合に困ります。対応としては、説明の際に交付した書面と引き換えに、借り主から書面の受領書を受け取り、保管しておくのがよいでしょう。万が一裁判になった場合は、それをもって立証することになります。その際、次のことに注意しましょう。
    (1) 必ず借り主に自署してもらうこと
    (2) 署名の年月日は、必ず賃貸契約の始期より前であること。
    もし同日の場合は、時刻を明記してもらうのがよいでしょう。


  3. 定期賃貸借契約を結ぶ場合の基本的な留意事項はどういったものがあげられますか?
    ▼回答
    つぎのような点があげられます。
    1) 書面交付による事前説明
    2) 貸し主に代わって不動産業者(宅地建物取引業者)がおこなう場合は「委任」が必要
    3) 契約書(書面)にすること
    4) 第一条に定期建物賃貸借契約であるむね明記する
    5) 建物の特定(特に面積)
    6) 契約期間
    7) 保証金等の一時金について
    8) 賃料の改定条項
    9) 終了の1年から6ヶ月前の通知
    10) その他


  4. 契約期間の書き方で特に注意しておく点はないでしょうか?
    ▼回答
    契約期間については、明白にしておくことが特に重要です。次のような場合には、曖昧ということで、期間を定めたことになりませんので注意が必要です。
    (例)
    イ) 始期を書かず、終期だけのもの
    ロ)○○年間のみのものetc
    従って、必ず、「始期」(○年○月○日)と「終期」(○年○月○日)と「期間」(○年○か月)を明記することが必要です。そして、その下に「契約終了の通知をすべき期間 ○年○月○日から○年○月○日まで」を設け、そこに、「終期」の1年前から6ヶ月前までの間を記入しておくとよいでしょう。曖昧な期間でなく、借り主にはっきりと分かる表示がのぞまれます。


  5. 重要事項説明書ではどこまで定期借家について明記するのでしょうか?
    ▼回答
    不動産業者(宅地建物取引業者)が仲介する場合が多くなると想定されます。今回の定期借家契約については、重要事項説明の対象となります。 重要事項説明書では、
    (1) 表記に、宅地建物取引業法第35条に基づく説明であり、・・「本契約は借地借家法(改正:平成11年法律第153号)第38条に定める定期建物賃貸借契約です。よって、期間の満了により確定的に契約が終了し、更新がありません。従って、更新拒絶に正当事由を要するという問題を生じない契約ですので、十分理解されるようお願いいたします。」等。
    (2) 宅地建物取引業者の表示及び説明をする宅地建物取引主任者並びに取引態様
    (3) 供託所等に関する説明
    (4) 不動産の表示及び賃貸人
    (5) 登記簿に記載された事項
    (6) 管理の委託先
    (7) 法令に基づく制限の概要
    (8) 建物建築の形状等並びに建物設備
    (9) 賃貸借契約条件等
    (10) その他


  6. 改正法38条2項において、貸し主に定期借家契約に関する書面による説明義務が課されていますが、貸し主本人がやらなければいけないのでしょうか?
    ▼回答
    契約の当事者として貸し主が説明義務を課されているわけですので、仲介業者が行う場合は、正式な委任状を作成した上で、代行させることが必要です。

  7. 定期借家では、礼金はとれるのでしょうか。また、再契約の際に礼金はとれるのでしょうか?
    ▼回答
    傾向としては礼金については、減少しています。それぞれの地方で大きく慣行が異なりますので一概に言えません。そもそも礼金は従来からある借家契約では、賃料が上げれず、その補填として始まったとのことです。そうした意味では、賃料改定のできる定期借家では礼金をとる意味はないといえます。ちなみに、国土交通省住宅局民間住宅課にて作成された「定期賃貸住宅標準契約書」では礼金は定期借家になじまないとの理由にて、礼金の欄はございません。 但し、礼金が法律違反ということではありません。

  8. 従来からある賃貸契約で更新時(2年毎が多い)に更新料をもらっていた不動産業者には、今後どのような形で手数料が入ってくるのですか?また、その場合はいくらでしょうか?
    ▼回答
    定期借家契約には更新という考え方がありませんので、更新料をいただくことはできません。例えば、2年毎に再契約をしていくような場合、その時々の仲介手数料がそれに変わるものになると思われます。なお、宅地建物取引業者の賃貸仲介の場合の報酬基準は、1970年10月23日建設大臣告示により、合計で「1ヶ月に相当する金額以内」と定められています。