-
受贈者課税を活かす
贈与税は累進税率でしかも受贈者課税ですから同じ贈与額でも、多くの受贈者に分散して贈与した方が贈与税の税率を低く抑えることができます。
| 設 例 |
|
|
| ケースA |
受贈者 |
1人 |
| |
贈与額 |
1,000万円 |
| ケースB |
受贈者 |
5人 |
| |
贈与額 |
200万円/1人 |
| ケースA |
(1,000万円−110万円)×40%−125万円=231万円 |
| ケースB |
(200万円−110万円)×10%×5人=45万円 |
|
- 相続財産を減らす
1.生前贈与をする 贈与税の基礎控除は110万円ですから、110万円までの贈与には課税されません。しかしこの方法では10年間で1100万円しか贈与できません。視点を変えて贈与税の課税最低税率10%に着目すれば、課税価格200万円(贈与金額310万円)迄は10%の税率で済みます。つまり、310万円の贈与に対して20万円の贈与税を払うことによって10年間で3100万円(贈与税は200万円)が移転できます。
※連年贈与に注意
この場合に、毎年同一金額を贈与していると「連年贈与」とみなされることがあります。
上記でいえば3100万円の資金贈与を10年で分割していることになり、1270万円の贈与税が課税されます。
| ポイント |
毎年、こまめに贈与税の申告をして贈与税を支払い、その贈与金額を
一定にしないことが必要です。 |
- 生前贈与加算の対象者以外の者への贈与
相続開始前3年以内の贈与財産の相続財産への加算制度は、相続又は遺贈によって財産を取得した者が、被相続人から相続開始前3年以内に贈与によって財産を取得しているときは、その贈与のあった時の贈与財産の価格を相続税の課税価格に加算し、その加算後の金額を相続税の課税価格とみなして相続税を計算するというものです。
しかし、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた者であっても、その者が相続又は遺贈により財産を取得しなければ、その贈与財産が相続税の課税価格に加算されることはありません。
設 例
| 遺産の総額 |
10億円 |
| 家族構成 |
父・長男・長男の妻・孫A・孫B・長女・長女の夫・孫C・孫D。なお、母は既に死亡している。 |
| 贈与の実行 |
父から長男の妻、孫A、孫B、長女の夫、孫C及び孫Dの計6名に、1人当たり500万円の贈与を平成15年1月に、平成15年3月にもう一度各人に500万円の贈与をした後に、父が平成15年4月に死亡した。その結果、遺産は10億円−(500万円×6人×2回)=9.4億円に減少している。なお、法定相続人以外の者は遺贈により遺産を取得していない。 |
| 贈与の効果 |
贈与前 相続税 40,760万円
贈与後 相続税 37,160万円
贈与税 636万円 (6人分・2回分の合計)
贈与後の合計 37,796万円
節税効果 2,964万円 |
| 対策の解説 |
相続又は遺贈により財産を取得しない人、すなわち法定相続人(設例では長男及び長女)でない人で、遺言書などにより遺産を取得していない長男及び長女の配偶者並びに孫などへの贈与は、相続開始前3年以内の贈与であっても相続税の課税価格に加算されません。 |
なお、贈与はお互いの意思確認で成立する行為ですから、その意思確認後、契約書などの書面を作成し、贈与の事実を客観的に証明できるように配慮しておくことが大切です。現金の贈与の場合には、直接手渡しで現金を贈与するのではなく、金融機関の通帳等を通す形で行えば現金贈与の証拠が残り万全といえます。また、一暦年の受贈額が110万円を超える場合には贈与税の申告と納税を忘れないように行わなければなりません。
- 配偶者への居住用不動産の贈与の特例
婚姻期間が20年以上など次に掲げる要件を満たす配偶者に対して、居住用の不動産又はそれを取得するための資金を贈与したときは、贈与税について最高2,000万円の控除規定の適用があります。これは、「贈与税の配偶者控除の特例」といわれるものです。
この特例の適用を受けて被相続人から贈与された居住用財産等については、相続発生前3年以内の贈与であっても「生前贈与加算」の対象に含めないこととすることができます。つまり2,000万円までの居住用財産が相続税も贈与税も課税されずに移転され、相続財産の減少を図ることができます。
留意点としては、相続発生年にこの特例贈与を実行した場合、受贈配偶者は贈与を受けた年の翌年に贈与税の配偶者控除の適用を受ける旨の贈与税の申告が必要です。申告をしない場合には、一般の贈与として取り扱われ、相続税の計算上、生前贈与加算の規定の適用を受けてしまうことになります。
適用要件
| (1) |
婚姻期間が20年以上にわたる配偶者間の贈与であること |
| (2) |
贈与された財産が居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること |
| (3) |
贈与された年の翌年の3月15日までに、贈与された居住用不動産又は贈与された金銭で取得した居住用不動産に居住し、かつ、その後も引き続き居住する見込みであること |
| (4) |
同じ配偶者から過去にこの特例の適用を受けていないこと |
| (5) |
一定の書類を添付して贈与税の申告をすること |
贈与税の配偶者控除2,000万円を実行した場合の相続税の節税効果
(相続税の配偶者の税額軽減をフルに活用するものとします。) |
| 遺産の総額 |
相続税の軽減額 |
| 子1人 |
子2人 |
子3人 |
| 5億円→ 4.8億円 |
500万円 |
450万円 |
375万円 |
| 10億円→ 9.8億円 |
600万円 |
550万円 |
500万円 |
| 20億円→19.8億円 |
600万円 |
600万円 |
550万円 |
例えば、夫婦と子供1人の家族構成の場合、妻の固有財産が5,000万円で夫から居住用財産2,000万円を贈与され、贈与税の配偶者控除の特例の適用を受けた後に、その妻が先になくなったときには、妻の財産を子供がすべて相続しても相続税の基礎控除額以下であるため相続税は課されません。したがって、夫の財産は贈与税なしで妻に移転し、さらに子供がその財産を相続することによって夫の財産が相続税なしで子供に移転したという効果が生じます。
| 注意点 |
| (1) |
居住用不動産の評価額は、時価の半分くらいであり、額面評価される現金を贈与するよりも、不動産そのものを贈与した方が有利となります。しかし、居住用不動産を取得した直後に贈与すると不動産の贈与ではなく、その不動産を取得する金銭の贈与とみなされるおそれがあるため、取得年の贈与は避けた方が無難です。 |
| (2) |
この特例は、贈与税の特例であって、不動産の贈与の場合には、登記名義の変更に伴い、登録免許税(原則として、その不動産の価格の10/1000)及び不動産取得税(原則として、その不動産の価格(建物部分については、最高1,200万円を控除した額)の3%)が課税されます。 |
|
配偶者控除適用後のマイホームの譲渡の特例適用は?
贈与税の配偶者控除の適用を受けた後に、期せずしてマイホームを譲渡した場合で、一定の要件に該当するときは、譲渡益から3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。そして、そのマイホームが夫婦共有となっている場合には、3,000万円の特別控除を夫婦のそれぞれに適用できます。
ただし、妻に土地だけを贈与していた場合には、夫の特別控除不足分(3,000 万円に達しない部分)の範囲内でしか妻は特別控除を受けられません。
なお、贈与を受けたマイホームは、その後引き続き居住することが贈与税の配偶者控除の適用要件となっていますので、すぐに売るためにする夫婦間贈与では、その適用は否認されることとなります。
設 例
マイホームの土地建物は夫婦の共有であり、このたび、やむを得ない事由によりこれを売却することとなった。長期譲渡所得の金額(特別控除前)は、夫5,000万円、妻2,500万円である。なお、この物件は15年前に夫が売買により取得し、7年前に夫から妻へ持分で贈与している。
| 所得税<夫> |
5,000万円−3,000万円(特別控除) = |
2,000万円 |
|
2,000万円×10%(軽減税率の適用)= |
200万円 |
| <妻> |
2,500万円−2,500万円(特別控除) = |
0 |
|
- 相続時精算課税制度の創設
@新制度のあらまし
一定範囲の生前贈与については、選択制により、生前贈与時に軽減された贈与税を支払 い、その後の相続時に生前贈与財産と相続財産の合計額をもとに計算した相続税から、 すでに支払った贈与税を控除して精算する贈与税・相続税を通じた納税方式によること ができます。
A相続時精算課税制度による贈与税の課税
ア.適用できる贈与
65歳以上の親(贈与者)から20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)(受贈者)への生前贈与に限られます。
イ.摘用対象財産など
贈与財産の種類や金額、贈与回数に制限はありません。
ウ.非課税枠
受贈者単位で2,500万円まで(複数年の贈与については、合計額が2,500
万円に達するまで)は、贈与税は課税されません。
エ.適用税率
一律20%の税率が、非課税枠を超える部分に対して適用されます。
オ.贈与税額の計算
この制度を選択した受贈者は、選択した年分以後のこの制度に係る贈与者(親)か らの贈与財産については、他の贈与財産と区別して、その贈与者からの贈与財産の累 積額(非課税枠超過額)をもとに計算した各年分の贈与税額を申告し、納税します。 なお、この制度を選択した年分以後、この制度に係る贈与税の計算については、一般 の基礎控除額(110万円)は控除できません。
カ.適用時期
平成15年1月1日以後の相続または贈与から適用。
B相続時精算課税制度による相続税の課税
この制度を選択した受贈者(子)は、この制度に係る贈与者(親)からの相続時に、選 択した年分以後の生前贈与財産と相続(遺贈)財産とを合算して、現行の課税方式(法 定相続分による遺産取得課税方式)により計算した相続税額から、すでに支払ったこの 制度に係る贈与税相当額を控除して、納付すべき相続税額を算定します。なお、相続財 産と合算する生前贈与財産の価額は、贈与時の時価によります。
C手続き
この制度を選択しようとする受贈者(子)は、適用を受けようとする最初の贈与を受け た年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書にその旨の届出書を添 付して提出する必要があります。
D住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例の創設
従来の「住宅取得資金等の贈与に係る贈与税の特例」が2年間の経過措置を残して廃止さ れ、新たに、相続時精算課税制度の下で、3年間の時限措置として、次のような「住宅 取得等資金の贈与についての特例」が創設されます。
ア.あらまし
20歳以上の特定受贈者(贈与者の直系卑属である推定相続人)が自己の居住用である一定の家屋を取得するための資金または自己の居住用家屋について一定の増改築のための資金の贈与を受けた場合には、贈与税の課税上、最高1,000万円の特別控除額を控除することができます。なお、この特例は、65歳未満の親からの贈与についても適用されます。
- 住宅取得資金等の贈与の特例
住宅を取得等するための資金を、父母又は祖父母から贈与を受けた場合において、次の適用要件を満たすときは、贈与税を軽減できる特例制度があります。
適用要件
| (1) |
贈与を受ける人の直系に当たる父母又は祖父母から住宅取得資金等(住宅及びその敷地の取得又は増改築等に充てるための資金)として贈与を受けること |
| (2) |
贈与を受けた日前5年以内に自己又は自己の配偶者の所有する住宅に居住したことがない者及び住宅の買換え・建替えを行う者で贈与を受けた日前5年以内に居住していた自己又は自己の配偶者の所有する住宅及び敷地を贈与の年の翌年3月15日までに売却又は滅失させた者であること((1)、(3)、(6)のすべての要件に該当する人が贈与の年の翌年12月15日までに住宅の売却又は取壊しをする見込みで、その年の合計所得金額が1,200万円以下の場合でも可) |
| (3) |
贈与を受けた年の合計所得金額(居住用財産の3,000万円特別控除がある場合は控除後の金額)が1,200万円(給与収入だけの場合約1,442万円)以下であること |
| (4) |
贈与を受けた年の翌年3月15日までに一定の新築住宅又は既存住宅を取得し、居住すること(居住することが確実に見込まれる場合でも可)、又はその者の有する住宅について行う増改築(工事費用が1,000万円以上及びその増改築又は大規模な修繕等により増加した床面積が50m※2※
以上であるものに限る。)であること |
| (5) |
取得する住宅は、新築・中古を問わず1棟の家屋の床面積の合計が50平方メートル 以上で、その床面積の50%以上がその人の居住用であること。中古住宅の場合はさらに次の条件を満たしていること。
(イ) 耐火建築物の場合
取得の日以前25年以内に建築されたものであること
(ロ) 耐火建築物以外の場合
取得の日以前20年以内に建築されたものであること |
| (6) |
過去にこの特例の適用を受けたことがないこと |
この贈与の特例は、直系血族である父母又は祖父母からの贈与でないと認められません。ですから、例えば、子供の妻(一親等の姻族)に対する贈与は特例贈与になりません。しかし、子供の妻と養子縁組をすれば、縁組後は一親等の(法定)血族となり、この贈与の特例の適用を受けることが可能となります。
この特例を利用すると贈与された金額のうち、550万円までは贈与税の課税がされません。550万円を超えて1,500万円までは5分5乗方式で課税され、通常の贈与税の計算よりも低い贈与税額となるよう工夫されています。
住宅取得資金等の贈与の特例を適用する場合の贈与税額の計算式
贈与を受けた財産が住宅取得資金等だけである場合の贈与税額は
次の算式で計算できます。
(1) 住宅取得資金等の贈与を受けた年分
贈与税額=(A−B)+B×5
A及びBは、次によります。
| A= |
[{ |
住宅取得資金等のうち
1,500 万円までの部分の金額(a) |
× |
1 |
+ |
( |
その年中に贈与を受けた
財産の価額の合計額 |
−(a) |
)} |
−110万円 |
] |
| 5 |
| B= |
{ |
(a)× |
1 |
−110万円 |
} |
×贈与税の税率 |
| 5 |
(2) |
住宅取得資金等の贈与を受けた年の翌年以後4年内に財産の贈与を受けた場合のその贈与を受けた年分 |
| 贈与税額= |
{( |
その年中に贈与を受けた
財産の価額の合計額 |
+ |
前記(a) |
× |
1 |
) |
−110万円 |
} |
| 5 |
1,500万円の贈与を受けた場合の税額
一般の贈与の場合は、次のような計算になります。
(1,500万円−110万円)×50%−225万円=470万円(贈与税額)
◎特例を適用した場合の計算式は次のようになります
(1) (1,500万円×1/5+0−110万円)×10%=19万円
(2) (1,500万円×1/5−110万円)×10%=19万円
(3) ((1)−(2))+(2)×5=95万円(贈与税額)
なお、その年に住宅取得資金等だけの贈与を受けた場合の特例適用後の税額と通常の税額とを比較すると次表のようになります。
| 贈与を受けた金額 |
通常の税額 |
特例適用後の税額 |
軽 減 額 |
| 300万円 |
| 550万円 |
| 800万円 |
| 1,000万円 |
| 1,200万円 |
| 1,500万円 |
| 2,000万円 |
|
| 19万円 |
| 67万円 |
| 151万円 |
| 231万円 |
| 320万円 |
| 470万円 |
| 720万円 |
|
| 0 |
|
| 0 |
万円 |
| 25 |
万円 |
| 45 |
万円 |
| 65 |
万円 |
| 95 |
万円 |
| 167.5 |
万円 |
|
| 19万円 |
| 67万円 |
| 126万円 |
| 186万円 |
| 255万円 |
| 375万円 |
| 552.5万円 |
|
設例
所有財産 10億円(相続税評価額)
家族構成 本人、配偶者、子1人 孫2人
受贈者 子1人 孫2人
それぞれに住宅取得資金等(1,500万円)を贈与
10億円−(1,500万円×3人)=9億5,500万円
※贈与しない場合…10億円に対する相続税額 20,380万円
(配偶者の税額軽減適用後。以下同じ)
| |
贈与後の税額 |
贈与前との税差額 |
| 3年以内に相続が発生 |
相続税19,327.5万円(注1)
贈与税 285万円(注2) |
767.5万円 |
| 税額合計 |
19612.5万円 |
| 3年経過後に相続が発生 |
相続税 19,030万円
贈与税 285万円 |
1065万円 |
| 税額合計 |
19315万円 |
| * |
子は相続により財産を取得した。 |
| (注1) |
95,500万円+1,500万円(子の生前贈与加算)=97,000万円に対する相続税(贈与税額控除後の金額) |
| (注2) |
子と孫2人に対する贈与税(特例贈与・95万円×3人) |
上記設例の場合、相続又は遺贈により財産を取得した子は、その被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていますので、生前贈与加算の適用があります。しかし、孫は相続又は遺贈により被相続人から財産を取得していないので、たとえ被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていても生前贈与加算の適用はありません。
なお、特例贈与を受けた個人が、適用を受けた年の翌年以後4年以内に贈与により財産を取得した場合には、贈与税の基礎控除額を前倒しで活用していますので、その後に受けた贈与の金額が仮に年間110万円以下であっても、贈与税の課税対象となることがありますので注意が必要です。
|
幼少の孫に対する贈与について
祖父から幼少である孫に贈与する場合、祖父の贈与の意思表示に対する受贈を承諾する意思表明が困難であり、民法第549条にいう「諾成契約」としての贈与が成立しているとはいい難い状況にあると考えられます。
しかし、孫の親権者である父母が民法第824条に規定する財産管理権と代理権を行使して、祖父から贈与を受けた財産について管理行為等を行うことで、幼少の孫に対する贈与は成立すると考えられます。
| 民法第818条(親権者) |
|
成人に達しない子は、父母の親権に服する。 |
| (2) |
子が養子であるときは、養親の親権に服する。 |
| (3) |
親権は、父母の婚姻中は、父母が共同してこれを行う。但し、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が、これを行う。 |
民法第824条(財産管理権と代理権)
親権を行うものは、子の財産を管理し、又、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。但し、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
|
|
- 住宅取得資金等の贈与よりも有利な住宅の贈与
子供の自宅を新築又は取得するときに住宅取得資金等の贈与の特例を適用して現金の贈与をすることより、親が建物を新築・取得し、子供にその建物を贈与することにより、より多くの財産を移転することが可能です。
例えば、取得価額2,500万円の建物の相続税評価額は1,250万円くらいが目安ですから、時価2,500万円の建物を1,250万円で評価して贈与ができることになります。この場合の贈与税は970万円に対して345万円(2,500万円の現金を贈与して特例の適用を受けた場合の税額は、285万円)となります。
この贈与は特例贈与ではありませんので、受贈者は子又は孫に限定されませんので、子の配偶者などへも贈与が可能です。そのため、贈与の時期を分散したり、受贈者の数を増やすなどの工夫により、贈与税負担を大きく軽減すればより効果的なものとなります。
|
時 価 |
|
相続税評価額 |
|
| 現金の贈与 |
2,500万円 |
→ |
2,500万円 |
(評価差額なし) |
| 建物の贈与 |
2,500万円 |
→ |
1,250万円 |
(固定資産税評価額…目安) |
|
※注意点
建物の贈与を行う場合に、税務署とのトラブルを防ぐため、取得後すぐに贈与せず一定期間経過してから贈与した方がよいと思われます。
- 現預金の贈与
現預金を贈与する場合は、移転のコストもかからず簡単に贈与することができます。そのため、年末ぎりぎりになって行う贈与や生前贈与加算の対象者以外の者への相続発生直前の贈与など、贈与するための準備期間がない場合に適しています。
生前贈与加算の対象者以外の者へ贈与を実行した場合としなかった場合の贈与税を比較すると以下のようになります。
| 設例 |
|
|
| (1) |
相続人 |
子供2人 |
| (2) |
課税価格 |
5億円 |
| (3) |
贈与額 |
|
|
ケース1 |
ゼロ |
|
ケース2 |
300万円(1人当たり 150万円) |
|
ケース3 |
2,000万円(1人当たり1,000万円) |
|
ケース4 |
3,000万円(1人当たり1,500万円) |
|
ケース5 |
4,000万円(1人当たり2,000万円) |
【相続税軽減の効果】 |
| (単位:万円) |
| |
ケース1 |
ケース2 |
ケース3 |
ケース4 |
ケース5 |
| 課税価格 |
50,000 |
49,700 |
48,000 |
47,000 |
46,000 |
| 相続税額 |
14,460 |
14,310 |
13,460 |
12,960 |
12,560 |
| 贈与税額 |
− |
8 |
462 |
940 |
1440 |
| 合計税額 |
14,460 |
14,318 |
13,922 |
13,900 |
14,000 |
| 贈与の効果 |
− |
142 |
462 |
560 |
360 |
|
- 高収益の賃貸不動産を贈与する
賃貸建物を贈与した場合、贈与税の課税価格は、固定資産税評価額×(1−借家権割合)になります。高収益の賃貸不動産を子供に贈与すると、その収益が子供に帰属し、しかも相続発生時の納税資金の原資となります。さらに所得の分散にも役立ち所得税の節税にもなります。
注意点としては、賃貸建物の敷地については使用貸借(地代の支払はその敷地の固定資産税相当額以下)とし借地権の課税が生じないようにします。
賃貸建物はその入居者の借家権を考慮し、当該建物の相続税評価において借家権相当額を控除することとしています。また、その敷地についても当該借家権の一部が及ぶとの考え方から「貸家建付地」として、借地権割合・借家権割合及び賃貸割合を乗じて求めた割合を減額することとしています。
賃貸建物の贈与があった場合に、贈与後においても貸家及び貸家建付地として評価されるのは賃借人について異動がない場合に限られています。これは、贈与前後において実態が変わらないこと等に配慮して使用貸借通達4(使用貸借に係る土地等の上に存する建物等を相続又は贈与により取得した場合)にその旨の取扱いが明記されています。
しかし、贈与後に賃借人の異動があった場合には、その時点において受贈者がその後の利用を意思決定するものであり、その敷地の地代等の支払がない場合には、原則として使用貸借であることからその敷地は自用地(更地)として評価することとされています。
そこで、贈与後に賃借人の異動が生じないように、贈与する以前に家族が主宰する不動産管理会社等に一括して賃貸します。そして、その会社が第三者に転貸していれば、賃借人は異動しないので、将来相続が発生したときのその敷地は「貸家建付地」として評価することができます。
- 法人で賃貸マンションを建築し、無税でその会社の株式を贈与する
不動産管理会社を設立し、その会社で賃貸マンションを建築することにより、株価をゼロにし、その株式を子供に贈与する方法です。以下の手順で実行します。
| 設 例 |
| (1) |
親が2億円を出資して株式会社を設立します。 |
| (2) |
親が債務保証して会社が2億円の銀行借入れをします。 |
| (3) |
会社が親の土地に4億円で賃貸マンションを建築します。その場合、土地は使用貸借とします(建物の相続税評価額を2億円と仮定します。)。 |
| (4) |
3年経過するとその会社の株価はゼロとなります(子供に株を贈与する又はそのまま親が所有してもよい。)。
|
設立直後の
貸借対照表
|
|
建物取得直後の相続税評価
額による貸借対照表
| 建 物 4 |
借入金 2
純資産 2 |
| 合 計 4 |
合 計 4 |
|
3年経過後の相続税評価
額による貸借対照表
| 建 物 2 |
借入金 2
純資産 0 |
| 合 計 2 |
合 計 2 |
|
|
3年間の事業損益はゼロ、
借入金の返済はないものと仮定します。 |
|
設例の場合、3年後の株式の純資産価額はゼロですので、株価もゼロとなります。純資産価額方式による株価がゼロですので、類似業種比準価額方式の株価に関係なく、純資産価額方式による株価を採用します。
この場合、土地は使用貸借ですので、親所有の建物の敷地は相続税評価においては自用地として評価されることとなります。
- 同族会社の株式対策
「経営者に相続があった場合、会社がつぶれる」とよくいわれます。特に、株式の大部分
をオーナー一族が所有している同族会社では、一般の納税者の相続に加えて、自社株の相続問題がからんできます。業績がよくて利益が出ている会社や、土地などの不動産を所有している会社は、その株式の評価額が異常に高く評価されることも少なくありません。
| 問題点 |
| ・ |
同族会社の場合、株式の評価額が高ければその分相続税が増えることになり、相続税
を払うために自社株を手放すことによって会社経営に支障がおきたり、最悪の場合倒産
ということにもなります。 |
| ・ |
自社株を売却する場合にも、上場株式と違ってその評価額で容易に処分することもでき
ません。そして株式の売却所得については、源泉分離課税を選択することはできません
から、26%(所得税20%・住民税6%)の税金がかかります。 |
同族会社では、自社の株価がどれ位かをこまめに算出し、評価額が高くならないような
対策を講ずることが必要になります。
同族会社の株式の評価方法
同族会社のような取引相場のない株式の評価は、下記の3つの評価方法があり、どの評価
方法を使うかは、
1.相続や贈与で株式を取得した人が、株主の中でどんな立場にあるか
2.その会社の規模
によって決定されます。
| 取引相場のない株式の評価方法 |
類似業種比準価額方式 |
| 純資産価額方式 |
| 配当還元価額方式 |
一般的には、 純資産価額 > 類似業種比準価額 > 配当還元価額 の順に株式
の評価額が低くなります。
1.高収益部門を別会社にする
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後継者が株主となって新会社を設立し、経営者の会社の高収益部門を移します。その
結果、経営者の会社の純資産は減少しますから、株式の評価額は少なくなります。 |
| 2 |
更に、後継者の会社は経営者の会社の株式を経営者から購入します。経営者の持株
が少なくなりますから相続財産が減少します。 |
| 3 |
相続が発生した場合には、後継者は相続によって取得した株式を新会社に売却する
ことによって、納税資金を作ることができます。 |
2.従業員に自社株を持たせる
経営者の持株を少なくすることができれば、相続財産は減少します。 しかし、後継者に売却したり贈与する場合は、上記の同族会社の株式の評価方法にあるように最も高い純資産価額によって評価され、節税効果になりません。
一般の従業員のような少数株主の場合には、配当還元価額が適用されますから、最も低い
評価額になり売却価額や贈与価額も少なくなります。従業員に自社株を持たせることによって、従業員の経営参加意識やモラルの向上といった側面も得ることができます。
しかし、あまり多くの株式を従業員に与えますと、会社の経営に支障が生ずる可能性もあります。
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